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平和構築 ‐ 各国の取り組みと教訓
進行役:
サラ・ニューホール氏 パクト代表/CEO
発表者:
伊勢崎 賢治氏 立教大学大学院社会学研究科教授/日本紛争予防センター
下沢 嶽氏 国際協力NGOセンター(JANIC)副理事長
スティーブン・マックニール氏 アメリカン・フレンズ・サービス・コミティ(AFSC)
アソシエイト・リージョナル・ディレクター(サンフランシスコ)
アマンダ・イライザ・ローダス・ラモス氏 Instituto de Ensenaza para el desarollo
Sostenible-IEP ADES (持続可能な開発のための教育研究所)プロジェクト・オフィサー(グァテマラ)
このセッションでは紛争と平和構築におけるNGOの役割というまさに時局的な問題をさまざまな角度から考察した。ふたつの事例が紹介された。ひとつはカンボジアでの平和構築における米国NGOの活動に関するものであり、もうひとつはグァテマラからの報告と現地の平和構築におけるグァテマラNGOの活動である。発表者は皆、平和構築は単なる和平合意の締結よりも遙かに複雑なものだと強調した。実際、これは平和構築事業の出発点に過ぎない。
最初の発表者は伊勢崎賢治氏で、NGOが軍と密接に連携をとり、紛争中や紛争後の地域におけるNGOスタッフの安全確保について、より大きな議論をおこしていく必要性を論じた。伊勢崎氏は平和構築において、NGOは重要な役割を担っていると考えている。精神的外傷をもつ人へのカウンセリングや緊急援助を通しての和解作業はともに極めて有益である。現行の国連によるNGOスタッフの安全確保のやり方には、NGOの自立性を損なう面があり、改善が必要である。現地スタッフは保険の対象外であり、また一定期間後の安全確保策を受けるには費用が発生する。
伊勢崎氏はNGOと軍とのより緊密な連携の必要性を論じ、日本のNGOは日本での自衛隊訓練に参加すべきだと提言した。しかしながら、戦争放棄を明確に謳う平和憲法により、日本では軍隊に関する議論は極めてデリケートな問題である。伊勢崎氏は紛争後の東チモールとシエラレオネで活動した経験があり、軍と日本のNGOがより密接に協力し合うことの利益は互いにとってとても大きいと痛感している。NGOは草の根の情報を提供し、軍に代わって社会的信頼を提供する仲介者としての役割を果たすことができる。同時に、軍の不正行為への監視役も務めることができる。他方で、軍はNGOにとって有益である優れた安全保障情報の情報源となることができる。自衛隊は国連の管理下で配備されるからである。
伊勢崎氏は、自衛隊とNGOの連携は適切なことであり、これを念頭に憲法を修正すべきだと考える。しかし、会議に参加した日本側のメンバーの多くは、のちに同氏の見解には反対であると表明していた。
2番目の発表者である下沢嶽氏は、バングラデシュでの実体験について語った。現地では約1500もの国際NGOが活動しているが、紛争を招きかねない差別の状況を無視している。下沢氏は、これはデリケートな問題ではあるが、紛争回避のためにNGOはこのような課題に取り組まなければならないと強調した。貧困と文化間の紛争を取り除く必要がある。支援を提供していくことはたやすくはないだろうが、当事者以外の団体がきめ細かいやり方で取り組むことで、暴力的な紛争が生じる可能性を減らせるのではないかと下沢氏は述べた。
9.11以降、日本のNGOは平和構築に向けてより具体的な活動を展開しており、多くの団体は平和を求める声明を出している。日本政府や国際協力NGOセンター(JANIC)も関心の度合いを増してはいるものの、紛争回避よりも紛争後についての方がより頻繁に議論されているのが現状だ。
下沢氏は、自身が見たバングラデシュの丘陵地帯の部族への差別と似た例が、インド、カンボジア、タイなどにも見られると指摘した。NGOは活動の焦点を開発から紛争解決に転換していかなければならない。開発にのみ重点を置いていたら、NGOの活動や影響力は限られたものになってしまう。
スティーブン・マックニール氏は平和構築に向けた地域レベルのイニシアチブに焦点を当て、カンボジアでの平和構築プロジェクトについて述べた。現在、カンボジアは平和状態であるが、多くの辛苦が残存するため、今なお教育と資金・支援が不足している。数多くの武器がいまだに出回り、強盗や弱者と少数民族への弾圧を招いている。
このプロジェクトは12の村にコミュニティセンターを再建し、村が結束し協力するという建設的な体験の提供を目指すものであった。コミュニティセンターは開かれた話し合いの場としての役割を担い、村落コミュニティの生活に極めて重要なものだが、戦争中に多くが破壊された。アメリカン・フレンズ・サービス・コミュニティ(AFSC)は再建活動に資金提供をしたが、必要なものはほとんど村内部で調達され、これは再建活動を村が自ら担ったことの表れであった。つまり、村民の手によるプロジェクトだったということである。
マックニール氏はAFSCのスタッフと仏教の僧侶がおこなう「ピースフル・ハート・トレーニング」についても触れた。これは存在することと帰属すること、それに仏教の四聖諦に目を向けるものである。このプロジェクトでは、武器削減に注目した作業部会も設けられた。また、プロジェクトでは日常生活での非暴力の実践が奨励された。その結果、ひとつの実例として、村民は暴力に頼らずに漁業権が競売にかけられるのを防ぐことができた。
このプロジェクトが目指しているのは、AFSCが現地で必要なくなるよう、カンボジア人スタッフのスキルを高めることにある。現在は平和維持と紛争解決のスキルトレーニングに取り組んでいる最中であり、今年後半にも独立したNGOが設立される予定だ。紛争後の状況下で平和を維持していくためには、ここで述べたすべての要素が重要になる。
4番目の発表者であるアマンダ・イライザ・ローダス・ラモス氏は、グァテマラの情勢と現地の和解・融和活動における同氏のNGOの活動について述べた。グァテマラは36年にわたる紛争を経験し5年前に和平合意が締結されたが、紛争後の社会は寸断され混乱に陥っていることから、和平合意はただの出発点に過ぎないと、ラモス氏は特に強調した。
融和活動の課題は、その問題への取り組みがなおざりにされてきたことにある。例えば、軍は常に一般市民と結びつきのない占領軍であった。そこで、ラモス氏の団体は軍や国家警察との関係をつくりあげるために活動している。戦争中、軍と国家警察は一貫して敵であり、特に農村地域の人々を無差別に殺戮した。和解は難しいが、人々がこの話題について話し合えないようであれば進歩はあり得ないとラモス氏は述べた。
発表の最後に挙げられた重要なポイントは、国際社会は和平合意締結後の国を忘れてしまうことが多いが、実際には、この時点から発展に向けた継続的支援が必要になるということであった。もし、脆弱な紛争後の状況下で人々が見捨てられるようなことがあれば、紛争が再発しかねない。紛争を経験して、現在、明るい事態も到来している。女性がグァテマラにより大きな信頼を置くようになっているのはその一例だし、グァテマラのNGOも、このような時期に国際NGOから支援を受けて発言権も獲得した。しかしながら、国際社会はグァテマラや同様の状況にある国々に再び紛争が起こることのないよう、連携しなければならない。
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