CSO連絡会
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第3回日米CSOフォーラム
 
アフガニスタンにおける平和構築

進行役:
ジョン・ギリーズ氏
 教育開発アカデミー(AED)シニア・プログラム・オフィサー

発表者:
アラステア・マケックニー氏
 世界銀行アフガニスタン担当カントリー・ディレクター
ナンシー・リンドボーグ氏 マーシー・コア副代表
マスーダ・ジャラル氏 国連世界食糧計画アフガニスタン・ナショナル・プログラム・オフィサー
ファヒマ・ボーゲッツ氏 アフガニスタンの孤児と未亡人を支援する人道団体(HOOWA)
片山信彦氏 ワールドビジョンジャパン理事・事務局長



 このセッションでは、アフガニスタンに焦点を当て、現地情勢について5つの異なる観点が提示された。発表者の2名がアフガン人女性で、アフガン人の観点からの報告があった。そのうちの1名はアフガンのNGOの視点、もう1名は現地の大統領選に立候補したこともある人で、より広い政治的視点を紹介してくれた。1名の日本人、1名の米国人が国際NGOの視点を、そして最後の1名が世界銀行という多国籍ドナー組織の視点を紹介した。すべての発表者が未解決の多くの問題に触れ、今後に長きにわたる国際社会からの継続的支援の必要性を指摘した。アフガンのNGOは現地の人々に手を差し伸べるもっとも効果的な方法を紹介した。

 最初の発表者であるアラステア・マケックニー氏は、ドナー間で協調することによって、複数のドナーの要求が競合することによって生じる現地政府への負荷を軽減させる必要を強調した。マケックニー氏は、20か国が資金提供してつくられた調整メカニズムである復興信託基金がこの目的で開設されたと述べた。ドナーはそれぞれ比較優位な点をもっているため、世界銀行はすべてを担おうとはしていない。マケックニー氏は、世界銀行がガバナンスと制度面でのキャパシティに重点を置いているのに対し、初期教育にはNGOが取り組んでいると述べた。また、両者は連携しながら仕事をしており、世界銀行がNGOの草の根ネットワークから得られる地域社会のニーズを確実に吸い上げる一方で、NGOは世界銀行の監視役をつとめる機能を果たしている。

 2番目の発表者であるナンシー・リンドボーグ氏は、アフガニスタンとアドボカシーについて論じ、ふたつの重要な課題を提示した。ひとつめは安全保障の問題である。10年前にタリバンが政権を握った際、無政府状態が広まり女性の権利が制限された。アフガニスタンの安全保障は危機的状況のままである。2番目の課題は、アフガニスタンの長期的復興にはさまざまな資源が必要だということである。アフガニスタンへの関心は低くなってきており、今後も重点地域として注目し続ける必要がある。非常に複雑な地域であるため、アフガニスタンにおける救援、復興、開発へと移行する道は不透明なものだとリンドボーグ氏は語った。したがって、救援活動の重要性は今後長い期間変わらないだろうが、もっとも深刻な場所に救援を続ける一方で、外部から提供された援助によって現地のキャパシティを埋もれさせないことが肝心である。NGOは、現地の人々が自分たちの生活に影響を及ぼす政策への発言権を持てるよう、彼らを支援することができる。国際NGOの役割は現地のNGOとともに働く、いわば接着剤のようなものだ。

 3番目の発表者であるマスーダ・ジャラル氏は、アフガニスタンの将来のビジョンを述べた。それは、国民にサービスを提供する政府が、人々の願いや希望を聞き入れ、説明責任をまっとうすることである。アフガニスタンは人道危機の最中にあるが、繁栄する未来を描くビジョンによって人々を動かすことができるとジャラル氏は考える。蔓延する貧困や識字率の低さにもかかわらず、アフガニスタンでは政治的議論は洗練されており、他諸国とのネットワークも築かれてきた。ジャラル氏は、この国際的な連携によって、貧困を削減し国家の結束と繁栄を推進することができると考える。しかしながら、国際社会が約束を守らない場合には、人々が失望する危険があるとジャラル氏は強調した。その場合、紛争が再発しかねない。ジャラル氏は開発戦略には3つの段階があると解説した。第1段階は人々の生活の安全と平和を確保する人道援助。第2段階はインフラと人的および社会的資本を再構築する外からの援助。そして第3段階は民間セクターの援助による経済成長の機会の提供。これらを念頭に、長期的なプログラムを確保する必要がある。ジャラル氏の例は、安全の確保は国家が単にこれをすればよいというものではなく、貧困の削減と社会正義や平等の実現につながるものとして考えるべきという理念を示していた。ジャラル氏は、国際社会からの継続的な支援が今後の困難に立ち向かうには肝要だと力説した。

 4番目の発表者は、もう1名のアフガン人、ファヒマ・ボーゲッツ氏であった。ボーゲッツ氏の発表では、旧ソ連の対アフガン戦に対抗する形で、タリバン政権の樹立に手を貸した米国の役割が強調された。アフガニスタンで世界の大国がテロリストに権力を与え、戦争に負けるや背を向けたとボーゲッツ氏は語った。たちまち狂信的な権力者が女性や国民の権利を奪った。これがアフガニスタン崩壊の始まりである。ボーゲッツ氏は、アフガニスタンには23年前から続いている、今なお消えない悲劇があると述べた。9.11は米国や世界にとって悲劇であったが、アフガニスタンの悲劇と崩壊は報告されてこなかった。例えば、9.11以前には、アフガニスタンの女性の声には耳を傾けてもらえなかった。アフガニスタンにはワールド・トレード・センターは存在しないが、あらゆる家や大学や学校がワールド・トレード・センターのようなものだとボーゲッツ氏は語った。戦争の影響を受けずに生活してこられた家庭はアフガニスタンには皆無である。ボーゲッツ氏の団体、アフガニスタンの孤児と未亡人を支援する人道団体(HOOWA)は、女性や子どもを対象に人道援助活動をおこなっている。子どもたちは飢餓に苦しみ、靴などの必需品が不足している。ボーゲッツ氏は、アフガニスタンのNGOは管理費や膨大な給与支払がなく、また人々と密接に連携できるという点で、ほかの団体に比べて優位な点が多いことを強調した。アフガン国内の女性問題を解決し、軍指導者を追放する必要があると強調し、女性が参加しなければ平和は来ないと述べて発表を締めくくった。

 最後の発表者である片山信彦氏は、アフガニスタンで目にした3つの紛争について、将来の不安定要因を除去するためにはそれらすべてに取り組む必要があると述べた。ひとつめは民族対立、2番目は広がりつつあるカブールと農村地域の経済格差、3番目は地域格差である。それぞれの地域には複雑な文化的背景があり、NGOは地域社会全体を相手に取り組まなければならない。片山氏は、現地NGOの活動支援のために、アフガニスタンへの日本国民の関心を維持させる必要性についても触れた。また、2002年1月の東京でのアフガン復興会議前に日本のNGOが作成した資料のなかにアフガニスタンでの活動に向けた行動規範があったことに触れ、その有用性を紹介した。質疑セッションのなかで、ボーゲッツ氏とジャラル氏が、民族対立は軍指導者たちによって強調されているが、もともとアフガニスタンではさまざまな民族が平和に暮らしており、異民族間の結婚も少なくないと指摘し、この地域における紛争の可能性は片山氏が危惧するほど大きくはないかもしれないと述べた。
   
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