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ランチョン・スピーチ
米国国際開発庁(USAID)国際シビル・ソサエティ
シニア・カウンセラー
ドナルド・エバーリー氏
シビル・ソサエティは、世界的に隆盛を極めているが、貧困の削減だけでなく社会的、政治的状況にも変化をもたらしている。シビル・ソサエティは、持続可能な開発の実現や民主的な参加を広げていくという認識のもと、米国の開発アプローチの根幹を大きく変えてきた。その結果、問題の特定やその解決、あるいは地元のキャパシティの向上に、一般市民が広く関与するようになっている。
国家が弱体化した社会的組織や市民に元気を取り戻してもらおうと取り組みを行う中で、シビル・ソサエティ組織を活性化しようというさまざまな試みや努力が各地で行われている。非政府組織のキャパシティを高めることは国際的な潮流になっている。学術的な研究も広く行われており、国際NGOもますます力をつけ、メディアや政府職員の関心も高まり、CSOフォーラムのような国際会議も開催されている。
ブッシュ大統領が推進するシビル・ソサエティ支援の国内プログラムは、ボランタリー組織や民間チャリティ団体が、米国の歴史の中で、強い社会を創りあげるのにダイナミックな役割を果たしてきたという認識に基づいている。社会変革をおこすためのイニシアチブに必要なエネルギーは、社会の裾野から、参加型デモクラシーを推進するための社会運動を伴って沸きあがってくる。これは米国に限ったはなしではない。自由を求め、人間の能力を最大限に高めようとする社会ならどこでも、勢いのある非政府セクターをどんなことがあっても維持しようとするだろう。
実際、市場、政府、社会セクターという3本の足からなる腰掛けのどの足も、ゆるぎなく秩序が保たれる社会が機能するためには、しっかりと安定していなければならない。シビル・ソサエティの大きさやその範囲はそれぞれの社会の状況によって異なるが、その存在は普遍的なもので人間の基本的な社会的ニーズや社会的性質に根ざしたものである。社会セクターは、政府や市場では提供できないモノを社会に与えることができる。ブッシュ大統領がよく言うように、政府は愛することはできないが、人は愛することができる。政府は、思いやりの社会やコミュニティを作ることができないのだ。だから、人が集まって、お互いに敬意を払い、信頼しあい、協力しあう社会をつくるのである。
ボランティアリズムへの新しい関心が生まれる兆候がある。約9千万人の米国人が何らかのボランティア活動に従事しているが、これは、週に4時間以上ボランティアをおこなっている計算になる。今後、退職者がボランティアに従事する割合が急増していくという見方がされている。それは、「フィランソロピーの黄金時代」の到来を予測するものである。この新しい時代のフィランソロピーは、新たな市民のイノベーション、結果重視主義で地域に根ざした、そして高い起業家精神を持ったトレンドを誘発するであろう。
ブッシュ大統領の新しいアジェンダは、効果的で、結果重視型の思いやりに焦点をあてたものである。民間チャリティは政府の代替物ではない。その一方で、ブッシュ大統領は、「われわれのコミュニティにある思いやりの軍隊(組織)を、貧困や絶望などとのさまざまな戦争で戦うように結集」させたいという強い気持ちを宣言した。ブッシュ大統領のアジェンダには、法制度の改正と市民企業や民間フィランソロピーへの新しいサポートが含まれている。これは、財源や責任がいくつかの重要な形で変更しつつあることを示唆している。つまり、大きなものから小さなものへ、遠隔から地元に根ざしたものに、官僚的なものから非官僚的なものに、人間味のないものから人間味あふれるものに、縦割りから全体を包括するようなものへのシフトである。一般市民は、自分たちが払ったお金の結果が知りたいのだ。一般市民は、「社会サービスのプロ」たちが入り込んでくるのを押し戻して欲しいと願っている。そういったサービスのプロ化によって、市民性の発達が損なわれ、貧者に癒しを与えたり元気づけようとする地元の介護者の自発性がそがれてしまうのだ。
このような政策を国際開発政策にも当てはめていきたい。これまで長いあいだ、国内で失敗してきたのと同様に、海外でも依存症状をつくりあげ、成果がどこにあるかわからないような政策を続けてきた。失敗してきた政策を改善するには、開発を促進させるための健全な戦略が重要になってくる。この戦略こそこの政権の新しい開発政策の最重要アイテムである。こうして、今年(2002年)の3月に、ブッシュ大統領は、「ミレニアム・チャレンジ・アカウント」という新しい“開発の契約”の概略を述べた。この新しい“契約”は、米国の開発援助予算を今後3年以内に50億ドル増加させる。これは、公正に統治され、法の支配を守り、汚職や腐敗の根絶に前向きに取り組み、人権や政治の自由を保護し、健康と教育への投資を確約し、健全な経済政策を実施する開発途上国を対象に供与される。
21世紀において、人間の開発に最も影響力を行使するのは、構想、知識、専門性、そして資本、それも生産性の高い投資への機会にもとづき、流出入する資本である。ペルー人経済学者のヘルナンド・ドゥ・ソト氏は、世界中の貧者はインフォーマルな経済において9兆ドルの資本を有しているのに、基礎的な法的保障や財産権がないために、あらたな富を創出することができないでいる、と述べている。
政府による直接的な開発支援額は、急速に減少している。30年前に、途上国に流れ込む資金の70%は政府開発援助資金であった。今やその割合は20%に過ぎない。であるから、われわれのような開発機関は、NGO、業界団体、市民組織、広義の助成財団らと共に、地球上にボランタリズムやフィランソロピーの価値を高め広める国際的な動きの一翼となるのである。このような地球的な動きは、地球上にフィランソロピー、奉仕の精神や市民の責任といった規範を強化する潜在的可能性を有している。
このようなことすべての究極的な目的は人である。意気を盛んにし、能力や資格を与え、癒しと希望を人々に与える事である。開発において、人はパートナーなのである。これまで長いあいだ否定されてきたことだが、男女をとわずすべての人が権利と責任を有し、自分たちの生活やコミュニティを支配し管理する能力をもっているという保証を、私たちはひとりひとりが十分理解できるように努力を払わなければならない。からである。 |
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