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NGOによる効果的な国際パートナーシップ
進行役:
ウェイン・エルスワース氏 ICA文化事業協会副理事長(日本)
発表者:
マイケル・コット氏 教育開発アカデミー(AED)
シビル・ソサエティ・イニシアチブ・ディレクター
山本理夏氏 ピースウィンズ・ジャパン海外事業部責任者
藤原純子氏 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン ベトナム・オフィス代表
シナモン・ドーンサイフ氏 フォレスト・トレンズ フィナンシャル・マーケット担当ディレクター
このセッションでは、NGOのパートナーシップについて、それが実際にとりうるさまざまな形態やそれに伴う課題も含め検討された。調査結果の詳細が1例と、事例紹介が3例発表された。日米NGOの連携が1例、現場での複数のNGOの連携が1例、共通な目的のもとに立場の異なる者がひとつの団体に集まったのが1例あった。違いを認めあいながらパートナーシップを成功させるには、お互いに対する信頼と敬意が不可欠だという重要な結論が導き出された。
最初の発表者であるマイケル・コット氏は、ワシントンDC、ナイロビ、キエフで開催されたフォーカス・グループによる調査をもとに、教育開発アカデミー(AED)が作成したパートナーシップのベスト・プラクティス・ガイドについて説明した。マニュアルは米国国際開発庁(USAID)のスタッフを対象に書かれたものではあるが、ほかにも応用できるとコット氏は述べた。パートナーシップという概念から喚起される感情や意見には強いものがある。調査では、すべての関係がパートナーシップだと考える人がいる一方で、ビジネスをおこなう上での新たな方法と考える人がいた。コット氏は、現実はその中間にあると考える。パートナーシップには賛否両論があるが、つねに選択できる可能性として捉えておく必要はある。具体的な課題として、パートナーシップには長期の醸成期間が必要であり、組織の不安定さや目的の変化によって暗礁に乗り上げるかもしれない。したがって、参加する団体の役割や責任の明確さが重要となる。AEDが行ったこの調査において、USAIDのスタッフは対等のパートナーというよりはむしろ推進役のリーダーになりたがっているらしいことが判明した。パートナーシップを結んだ人々向けの適切な訓練が必要であるとAEDは結論づけた。結婚と同様、パートナーは重要だが、パートナーシップを支える背景もまた重要である。例えば、国によっては、NGOセクターが弱いことがパートナーシップの構築を難しいものにしてしまう。パートナーシップの中心的テーマは、共通の基盤、意志決定の透明性、共通の予算管理にある。また、文化的な違いを認める必要や、監視と評価のシステムに双方が同意する必要がある。コット氏は、調査をもとにつくられ、事例をはじめとする多くのツールと参考文献が盛り込まれているマニュアルを推薦した。www.usaid.govから検索できる。
2番目の発表者である山本理夏氏は、日米のNGOの連携事例を紹介した。ピースウィンズ・ジャパンとマーシー・コアの連携は、以前のCSOフォーラムでの両者の出会いから生まれた。討議を重ね、ふたつの団体は相互の違いを理解した上での協力関係を築くことに合意した。山本氏は、相違を越えた連携にはお互いへの敬意と信頼が極めて大切だと述べた。連携の目的は、互いのミッションの推進を強め、2つの団体がもつプログラムや資源が届く範囲を広げることにある。また、連携によってアドボカシーによる影響力が強まることを期待している。このような方向に進むにあたって、NGOの連携を求めるドナーの要求が強まってきたことも大きな要因になった。同時に、NGO間の競争が激化していることも、連携を自然な流れと位置づける事態になっている。残念ながら、アフガニスタンにおける合同プロジェクトはまだ実現には至っていないが、資金が取れ次第、インドネシアにおける合同トレーニングが予定されている。山本氏は、この連携においてはことばの問題が大きいと語った。例えば、マーシー・コアのシニア・スタッフはピースウィンズ・ジャパンの会合に出席できるが、ことばの違いのために内容を理解できない。また、パートナーシップのために必要な組織のキャパシティや資源をタイミング良く確保することも大きな課題である。例えば、2つの団体は互いにアフガニスタンで活動しているが、多忙を極めるため現地で連携について話し合うことができていない。とはいえ、ピースウィンズ・ジャパンは、マーシー・コアの手法、プログラムの立て方、組織管理の方法を学ぶなど、連携により多くを得ることができた。また、他の米国NGOや、米国の他セクターへの関わり方や多国籍企業との関わり方などについても学んできた。山本氏は、日米のNGOにはかなりの相違があるが、双方の違いを認識し互いの手法を学ぶことで、双方に恩恵があると考える。
3番目の発表者である藤原純子氏は、援助の現場でのパートナーシップについて説明した。藤原氏の団体、セーブ・ザ・チルドレンは30の団体からなり、そのうちの6団体がベトナムで活動している。このなかにはセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンと米国セーブ・ザ・チルドレンがはいっている。ベトナムでは、現地での協力のための効果的なパートナーシップを築き、地域社会への権限移譲をスムースに行うために共に活動している。乳幼児と母親を対象とした栄養改善プログラム、妊婦ケア・プログラムを実施し、食の安全に協力し、マイクロファイナンスを提供している。藤原氏は、現場の体験からつくりあげたセーブ・ザ・チルドレンの戦略を紹介した。その重要な要素は、現地の資源を活用して問題の解決法を地域社会内から発見させなければならないということである。また、トレーナーを育てることも重要だ。セーブ・ザ・チルドレンは分野を越えた包括的なアプローチを段階を踏むプログラムで実施している。その最終段階では、セーブ・ザ・チルドレンは支援から手を引き、現地パートナーが自らすべてを仕切る。その段階では、プロジェクトの指導をおこなうのは常にベトナム人の専門家であると藤原氏は述べた。また、学ぶ意欲と献身的態度と責任感を持つ、よきボランティアを獲得することも重要である。支援継続を止める退避戦略に関しては、現在は、マイクロファイナンスとトレーナー育成を行うことを最後の段階とする戦略を注意深く検討している。現地の人材と国際的な方法論の組み合わせのような複合的なインプットが効果的だと藤原氏は見る。パートナーシップを築くのはたやすいことではないが、共通のビジョン、ミッションと哲学があれば、団体は協力して活動することができる。
最後の発表者であるシナモン・ドーンサイフ氏は、創立4年目に入る団体で、NGO、企業、研究所、民間セクターがすべて協力する、フォレスト・トレンズを紹介した。この団体は創設に三菱商事、世界銀行、その他多くの組織が参加して、オーストラリアのシドニーで設立された。参加したさまざまな機関にはそれぞれの強みがあったが、森林資源が減少している事実が共通の推進力となった。エコシステムの資源についての理解を進め、世界の森林を増やすというのが団体の目的になった。森林の金銭価値を高めることにより、投資を奨励する活動を始めている。ドーンサイフ氏は、世界の森林の所有と維持を中心に、「地域社会のために市場を動かす」ことを目指していると述べた。その結果、現地の人々が次第に森林の所有者になりつつある。プロトタイプ・カーボン・ファンドやバイオ・カーボン・ファンドといった類似のモデルも存在するとドーンサイフ氏は語った。カトゥーンバ5会議が11月、東京で開催される予定であり、そこでコミュニティ・カーボン・ファンドが立ち上げられることになっている。フォレスト・トレンズはあらゆる団体が集まることのできるユニークな場を提供している。普段は共に働くようなことがない団体が集まるため、共通の目標に向かい効果的に連携するには相互への敬意と信頼が極めて重要だとドーンサイフ氏は述べた。
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