ポストMDGs 開発資金をどうする? 先進国と途上国が攻防

05.11


1505_fds2【2015年4月17日 ニューヨーク(米国)発】2015年4月13日〜17日に、開発資金に関する第三回国際会議(The third International Conference on Financing for Development=FfD3)の成果文書を検討する第二回準備会合がニューヨークの国連本部で開催された。

本会合では、開発資金に関する第三回国際会議の成果文書、いわゆるアジスアベバ協定(Adis Ababa Accord)の草案(ゼロ・ドラフト)についての議論が主になされた。

ゼロ・ドラフトは二章から構成され、第一章はポスト2015開発アジェンダの実施を含む持続可能な開発のための資金に関する枠組みについて、アジスアベバ行動計画(Addis Ababa Action Agenda)と題する第二章は、国内公的資金、国際公的資金、持続可能な開発のための貿易、債務と債務の持続可能性など8つの項目に関する行動が示されている。

国際開発における各国の責任をより強調するゼロ・ドラフトの内容に対して、途上国は強く反発している。文書は、モンテレー・コンセンサス(2002年)とドーハ宣言(2008年)で合意された「共通だが差異ある責任」の原則に従って、国際的な責任と貢献を強調し、資金動員に焦点を当てた形で抜本的に書き直されるべきと主張した。これに対して先進国は、これらの合意がなされた当時から世界の経済情勢が変化していることに鑑みて、新興国や高中所得国は経済力に応じた責任を果たす必要があるとし、先進国と途上国の間に対立が見られた。

途上国はまた、持続可能な開発アジェンダ達成に必要な資金が、民間セクターや革新的資金創出メカニズム、南南協力などに「アウトソース」されているとの懸念を表明。例えばG77+中国グループは、政府開発援助(ODA)の極めて重要な役割についても文書内で言及することで資金源に関する記述のバランスを取るべきと指摘した。

具体的な行動計画についても先行きが不透明だ。先進国の多くは、将来の予算サイクルが見通せないとの理由をあげて、ODAの具体的な数値目標やタイムラインの策定に反対している。一方途上国は、国内資金の具体的な計画と目標設定について、政策の幅を狭めるとして難色を示している。

開発資金と持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals=SDGs)の2つの議論の関係性に対する共通認識が定まらない中で、共通の議長の1人であるケニアのマチャリア・カマウ(Macharia Kamau)氏は「両プロセスは、1」政策、2)組織体制、3)資金へのコミットメント、4)強いグローバル・パートナーシップ、5)フォローアップとレビュー、において一貫性を保つよう務めるべき」と発言している。4月21日〜24日に開催される両プロセスのジョイント・セッションが、方向性を示す一助となることが期待される。

なお、成果文書検討に関する次回準備会合は6月15日〜19日にニューヨークの国連本部で開催される。

Photo by IISD/ENB

出典:International Institute for Sustainable Development (IISD)
原題:Summary of the Second Drafting Session of the Outcome Document of the Third International Conference on Financing for Development
URL:http://www.iisd.ca/vol23/enb2308e.html

ページ上部へ戻る