持続可能な公共調達:欧州での取り組み 〜2016 Procura+セミナー(ローマ)参加報告

11.15


2016 Procura+セミナー(ローマ)参加報告

2016年10月13日〜14日、ローマで「2016 Procura+セミナー」(ICLEI:持続可能性をめざす自治体協議会主催、ラツィオ地域・Forum CompraVerde-BuyGreen共催)が開催され、CSOネットワークも参加しました。

Procura+は、欧州自治体の持続可能な公共調達(SPP)担当者や関係者のネットワークであり、ICLEI欧州が事務局を務め、これまで12年間活動してきており、現在18カ国39都市・機関が参加しています。能力強化とネットワーキングを目的として毎年セミナーが開催されており、本年はローマで開催されました。今年のテーマは、”Connect, Exchange, Act on Sustainable and Innovative Procurement”(つなぐ、交流する、行動する〜持続可能で革新的な調達へ)。

本年4月、ICLEIは持続可能な調達に取り組んで20周年を迎え、SPPでは世界で最も先進的な枠組みの一つですが、これまでに150プロジェクトの実施、100の会合・セミナー・ワークショップ開催、2000名以上の研修、50か国以上300都市の支援を実施し、CO2を100万トン削減することに貢献したと発表されています。この結果、コペンハーゲン市やロッテルダム市(2015年にグリーン調達を100%とする)などの先進的取り組みが進み、欧州全域ではGPP2020プロジェクト(2020年までにGPPを主流化し90万トンのCO2排出削減を達成する)が進められています。

今回のセミナーでは、先進事例であるゲント、コペンハーゲン、ヘルシンキ、バーミンガム、チューリッヒなどの取り組みについて、ライフ・サイクル・コスト(LCC)の導入、グリーン調達100%を目指す取り組み、環境だけでなく社会的側面への配慮での課題等について発表がなされ、直接担当者とも意見交換をすることができました。また欧州からの会合参加者からは、2020年東京オリンピックにおける公共調達と東京都の調達政策についても、高い関心が寄せられました。

ICLEI欧州からは、昨年9月SDGs(持続可能な開発目標)の目標12に持続可能な公共調達が盛り込まれたことを踏まえて、2014年に出されたEU調達指示書(EU Procurement Directives)に対応した調達慣行への移行への取り組みを進めつつ、域内のSPP実施をより促進・加速化していくことの重要性が指摘されました。

今回のセミナーにあたりProcura+では「Procura+ Manual」という持続可能な公共調達ガイダンス(最新版)をリリースしたましたが、欧州での知見を集約した内容となっています。日本の自治体でもグリーン調達は行われていますが、より幅広い「持続可能な公共調達」を進め、地域の持続可能性を高めるための貴重な示唆が含まれていると思われますので、今後の調査にも活用していきたいと思います。

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関連リンク

2016 Procura+ Seminar (プレゼン資料も公開されています)
http://www.procuraplus.org/events/procura-seminar-2016/

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