「持続可能な開発目標(SDGs)に関する自発的国家レビュー(VNR)についての パブリックコメント」を提出しました。

05.14


CSOネットワークは、2021年5月13日付で外務省国際協力局地球規模課題総括課に持続可能な開発目標(SDGs)に関する自発的国家レビュー(VNR)についての以下のパブリックコメントを提出しました。

 

持続可能な開発目標(SDGs)に関する自発的国家レビュー(VNR)についてのパブリックコメント

 

2021年5月13日

 

外務省国際協力局地球規模課題総括課 御中

一般財団法人CSOネットワーク

1.P6、8、11 SDGsへの取り組み視点として「『よりよい回復』に向けての取り組み」という観点

 ★意見:

取組みの基本的認識・観点として「よりよい回復」ではないと考える。「『誰一人取り残さない』とのSDGsの理念を実現していくための取り組み」としてはどうか。

 

★理由:

新型コロナ感染症の拡大は、弱者により一層の打撃を与えたことを改めて気付かされたことから、「誰ひとり取り残さない」という理念の重要性とその理念をもとにSDGsに取組んできたといえるのではないか。

 

2.P13~42 「5.国内のSDGs推進体制・主な取組」の構成

★意見:

第5章で「(1)SDGs推進に向けた国内体制」では国の推進体制が記載され、(2)において「国内普及の動き」となって、国の普及の動きとともに、事業者や市民社会の動きが一括して記載されているが、(1)は国の推進体制及び普及とし、その後に、主体別の取組みを記載することが求められる。

 

★理由:

現在の記載の方法では、SDGs推進は国が唯一の主体であり、その他の取組みは国の普及の一環、あるいは国のステークホルダーとしての位置づけにすぎないように見える。実態としては事業者や市民社会は自律的にSDGsに取組んでいることから、それぞれを主体とした記載するほうが実態に即していると考える。フォローアップレビューは確かに国の第一義的な責任者としてのレビューであるが、日本では事業者や市民社会の主体的取組みが進んでいることを記載することはその趣旨に反しないと考える。

 

3.P29 ③市民社会 の事例

★意見:

事例として、SDGs市民社会ネットワークの事例のみの記載となっているが、ビジネスと人権市民社会プラットフォーム(https://www.bhr-nap-cspf.org/)に関しても記載に含めるべきではないか。

 

◆理由

ビジネスと人権NAP市民社会プラットフォーム(2020年12月に名称変更)は、「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、日本における政府・企業の役割と責任の明確化と救済アクセスの確立を目指す、適切かつ実効的な「国別行動計画」策定を求めるために2017年2月に設立された市民社会プラットフォームである。課題の幅広さに対応した広範な市民社会の参画を実現するため、市民社会としての提言活動、関係する多様なステークホルダーとの対話・連携の促進、ビジネスと人権に関する理解を促進する活動等を行うとともに、2020年10月に日本政府により策定された「国別行動計画」の策定プロセスにも関与(諮問委員会、作業部会にも参画)した。

 

4.P40 (「ビジネスと人権」に関する行動計画の策定・実施) の事例

★意見:

福井県鯖江市の取組みが事例に挙げられている理由は?他に適した事例はないのか?

 

★理由

「ビジネスと人権」に関する行動計画の策定プロセスにおいては、策定プロセスに参画してきた「作業部会」構成員一同により、策定の経過に関する報告会の開催や、共通の要請事項(https://www.bhr-nap-cspf.org/recommendation/commonrequests2/)が発行されるなど、協働の機会が創出された。また、策定後には、策定プロセスに参画してきた「諮問委員会」構成員(https://www.bhr-nap-cspf.org/recommendation/launchcomment2/)および「作業部会」構成員(https://www.bhr-nap-cspf.org/recommendation/launchcomment1/)一同それぞれからの合同コメントが出されるなど、行動計画への期待が述べられるとともに、今後のプロセスへの積極的関与への意思が示されている。このような取組みこそが、(「ビジネスと人権」に関する行動計画の策定・実施) の事例として報告するに相応しいのではないか。

 

5.P43~90 「(3)8つの優先課題と主な取組」の記載方法

★意見:

記載方法が主に取組んだ内容を記載しており、レビューになっていないと考える。この箇所でも基本的な達成状況を示す必要がある。そこで、P93以降の「各目標の達成状況」からの一部抜粋およびP134以降の「円卓会議構成員による進捗評価」を挿入することで明確になると考える。

 

★理由:

現在の記載では、各目標が問題なく進んでいるように見え、達成状況や課題が見えない。たとえば目標5のジェンダーの記載を例にとると、ジェンダーは問題なく進展し課題はほとんどないかのように見えるが、現状は円卓会議構成員により進捗評価P134にも記載されているように、大きな課題がある。

 

6.P91~142 「各目標の達成状況」の記載方法①

★意見:

目標ごとの達成状況の記載については、全体像の記載のレビューと課題の記載が必要であると考える。

 

★理由:

目標ごとの報告が取組んだことを主に記載しており、一つには記載の取組み事例が少なく、二つには課題についての記載が少なくレビューになっていないと考える。たとえば、目標12では食品ロスのみの事例が記載(P119)されているが、ターゲットには公共調達や廃棄物管理など重要な課題もあり、これらには十分取組めていないことも課題として取り上げる必要があると考える。

 

7.P91~142 「各目標の達成状況」の記載方法②

★意見:

分野横断的取組みの記載がない

 

★理由:

17の目標は相互に関連し合っており、実際にも分野横断的取組が行われている。たとえば、目標12では「持続可能な消費」については、他の目標(1、2、4、7、8など)とつなげた実践をしており、目標17についても他の目標と連動することがなくては実践できないものである。

 

8.指標の整備

★意見:

日本のSDGs達成に向けた目標や指標の整備が必要である。

 

★理由:

SDGsの目標を社会全体で大きく推進していくためには、日本の地方や事業者や団体などの取組を国や世界のゴール達成につなげ、各主体にそれを見せて行くことが必要と考える。

 

9.P6~72. 要約について

★意見:

要約は、「今後の展開」パートが未完成でもあるため、現状把握・確認のトーンが強くなっているが、VNRの本来の意義と考えられるレビューを踏まえて今後の取組みに活かすという視点をより強く打ち出してほしい。

 

◆理由

これまでの日本のSDGsの取組みをまとめて報告すること以上に、取組みを総合的に振り返り、評価し、今後の取組みに活かすというレビュー本来の意義をしっかりと打ち出していただきたい。それを踏まえた上で、今後必要な具体的な取組みについても可能な範囲で言及することを希望する。

 

10.P83. 報告書作成方法について

★意見:

報告書作成方法について、次回からは、マルチステークホルダーによるオープンかつ計画的なプロセスを経て作成されることを希望する。

 

◆理由

SDGsが様々なステークホルダーにより推進されていることを踏まえて、様々なセクターの声や報告などをオープンかつ計画的に集めてVNRを作成していただきたい。また、その方法や内容など、策定過程についても可能な範囲で公開していただきたい。SDGsの原則である、透明性の確保や説明責任をしっかりと果たしたVNRであることを希望する。

 

以上

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