1990年代以降、民間直接投資や海外送金の急増とともに、民間による途上国の開発支援 (PDA: Private Development Assistance)*も、ODAや国際開発機関との連携のもと、年々その規模や影響力を増しています。 従来の援助効果の議論には必ずしも含まれてこなかったこれらの民間開発アクターによる支援が従来の援助設計に再考を促す可能性のあることを踏まえ、ODA関係者や研究者等様々な方面から民間開発支援に対する強い関心が寄せられていますが、未だその情報は断片的であり、規模や効果などに関する包括的な実態は明らかになっているとは言えません。
一般財団法人CSOネットワークでは、今年度この民間開発支援に関する調査を、①資金規模を調査する量的把握と ②資金の流通経路や資金の効果や影響を調べる質的把握、および ③開発効果を測定する枠組みに関する調査と 民間開発支援の中でも注目度の高い④ソーシャル・イノベーションに関する調査の4つの課題から進めているところです。
この調査事業は、独立行政法人国際交流基金日米センターからの助成金を受け、2011年3月よりおこなっています。
*この調査事業における民間開発支援(PDA)とは、財団、NGO、大学、その他民間非営利団体による非営利活動に加え、社会的企業の活動、企業などによる社会貢献活動を含めるものとします。

第1回民間開発支援に関する勉強会

第2回 民間開発支援に関する勉強会
2011年活動記録および予定
①PDAの量的把握
- 財団・NGOによる海外援助資金については既存のデータを活用し集計。企業による海外援助資金についてはアンケートを計画中。大学による海外援助資金および海外援助に関わるボランティア時間については、大阪大学国際公共政策研究科 山内直人教授にご協力をお願いしている。
- 民間による開発援助資金の量的調査において国際的にイニシアティブをとっているHudson Institute, The Center for Global Prosperity を訪問し、調査手法等についてアドバイスを仰ぐとともに国際的な調査のネットワークにも参画を表明する予定である。
②PDAの質的把握
- 民間による開発援助資金の被援助国における現地聞き取り調査を予定。
③開発効果測定の枠組みに関する研究
- GRIPS開発フォーラムとの共催による「民間開発支援に関する勉強会」を7月より開催。第一回7月4日は、市民社会からみた開発効果をテーマとしてCSOネットワークの今田克司とオックスファム・ジャパン事務局長の米良彰子氏より報告をいただいた。第二回9月9日は、国際機関からみた開発効果とその指標ということでUNDP西郡俊哉氏とIFC杉田道子氏よりご報告をいただいた。
詳細については以下HP参照。
http://www.grips.ac.jp/forum/newpage2008/PDA.htm
④ソーシャル・イノベーションに関する情報収集
- 11月に日米のソーシャル・イノベーション関係者による日米円卓会議 をサンフランシスコにて開催予定。
- 2012年1月末に、スタンフォード大学ソーシャル・イノベーション・センターのクリス・デイグルマイアー氏を基調講演者とするセミナーを開催予定。(当初4月に予定していたものが震災の影響により延期。)