政治への影響力がカギ オックスファム、ポストMDGsに関するディスカッション・ペーパーを公開

12.11



【2012年11月21日 英国発】オックスファム(Oxfam)は、ポストMDGsに関するディスカッション・ペーパー(※1)の最終版を2012年11月21日に公開した。これは、同団体が去る10月末に公開したドラフト版(※2)を、寄せられたコメントなどを元に改訂したものだ。

現行MDGsは援助システム(主に先進国)を重視している。しかし、援助は今後数年間にわたって減少し、また、国家(主に途上国)の歳入において援助が占める割合は援助の減少よりも早い速度で低下することが予想されている。このような状況をふまえると、ポストMDGsはこれまでのように援助システムを中心とするのではなく、どのように政府に影響を与えるかを重視すべきだ――同ペーパーはこのような分析を行い、ポスト2015年開発目標は「政治」に軸足を置くべきとして議論を展開している。

その上で、ポスト2015年開発目標の策定にあたっては、2000年以降に達成されたさまざまな成果に対するMDGsの貢献度を、各国の政治状況や経済成長、技術革新など他の要素と比較した上で導き出す必要があると指摘。また、貿易、金融、債務救済、知的財産権を含む薬へのアクセスなど、MDG8「グローバル・パートナーシップの推進」に掲げられている先進国の政策や振る舞いが関係する事項について、MDGsがどのような影響を与えたのかも併せて分析する必要があるとしている。これまでMDGsに関して投じられた政治的関心や金銭的規模の大きさに鑑みれば、MDGsの貢献度についての精査がほとんどなされていないのは驚くべきことだとペーパーは指摘する。

では、ポスト2015年開発目標はいかに政府に影響を与えることができるのか。同ペーパーは、そのカギを「国内規範を変容させること」「政府の意思決定プロセスへ直接的に関与していくこと」「市民社会や他の国内アクターに政府に行動を促す道具を与えること」と規定する。変化を起すのは国内の主体であるとしたうえで、これらを達成するためにはどのような国際的な体制(=ポスト2015年開発枠組の中身)が有効かについていくつかの具体的な手段を示しながら分析を行い、論点を提供している。

オックスファムはさらなるコメントを歓迎しているとのこと。全文はホームページからダウンロードできる。

▼「How Can a Post-2015 Agreement Drive Real Change?」のダウンロードはこちら
http://oxfamilibrary.openrepository.com/oxfam/bitstream/10546/250371/1/dp-politics-post-2015-mdgs-revised-211112-en.pdf (PDF)

※1 議論を呼び起こすために論点の提起・整理を行ったもの。オックスファムの政策上の立ち位置を示すものではない。
※2 ドラフト版はこちら http://www.oxfamblogs.org/fp2p/?p=12299

出典:Oxfam International
原題:How Can a Post-2015 Agreement Drive Real Change? Revised Edition: The political economy of global commitments
URL:http://policy-practice.oxfam.org.uk/publications/how-can-a-post-2015-agreement-drive-real-change-revised-edition-the-political-e-250371#

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