「素晴らしい」目標は全体の1割以下 32人の経済学者がSDGs目標案を評価 

10.16


1410_asses【2014年8月27日 ローウェル(米国)発】民間のシンクタンク、コペンハーゲン・コンセンサス・センター(Copenhagen Consensus Center)は、持続可能な開発目標に関するオープン・ワーキング・グループ(Open Working Group on Sustainable Development Goals)(※1)が合意した持続可能な開発目標(SDGs)の案について費用便益分析(※2)を行い、その結果を公表した。

オープン・ワーキング・グループによるSDGs案に関する費用便益仮分析(Preliminary Benefit-Cost Assessment of Final OWG Targets)」と題するこの報告書は、各分野で著名な経済学者32に対してインタビューを行い、SDGs案に掲げられた全ての目標を費用便益の観点から分析したもの。169個の各ターゲットを、素晴らしい、 良い、普通 、劣る、評価できないの5段階で評価している。

同センターは169個中、13個のターゲットを「素晴らしい」と評価。一方で「ターゲットの中には疑問を呈せざるを得ないものも多い。例えば、薬物乱用との闘い、平等な職業または大学教育へのアクセスなどは得られる利益に対してコストが非常に高い。また、定義付けが難しいターゲットも散見される」との見解も示した。

また、同センターの創設者であるビョルン・ロンボルグ(Bjorn Lomborg)氏は、ファイナンシャル・タイムズ(Financial Times)の取材に対して、「目標の1番目に掲げられた“すべての場所における、あらゆる形態の貧困の解消”は非現実的で野心的すぎる」「ミレニアム開発目標が18個のターゲットを掲げているのに対して、SDGs案は169個。文章も前者の374ワードに対して、後者が4369ワードと非常に長い」「よりよい世界を実現するためには、明確かつ現実的な目標を設定する必要がある」と述べた。

▼「Preliminary Benefit-Cost Assessment of Final OWG Targets」のダウンロードはこちら

http://www.copenhagenconsensus.com/publication/preliminary-benefit-cost-assessment-final-owg-targets

※1 国連持続可能な開発会議(リオ+20)で設置が決定され、2013年1月に発足した政府間協議プロセス。地域毎に配分された30のメンバーシップは、ひとつのメンバーシップあたり1〜4か国によって共有され、計96か国が参加している。

※2 事業が社会に貢献する程度を分析する手法の1つ。費用とそれによって得られる便益を評価し比較することで事業の是非を判断する。

photo credit: Daniel Kulinski via photopin cc

出典:Copenhagen Consensus Center
原題:Preliminary Benefit-Cost Assessment of Final OWG Targets
URL:http://www.copenhagenconsensus.com/publication/preliminary-benefit-cost-assessment-final-owg-targets

出典:Financial Times
原題:Proposals for UN development goal face criticism
URL:http://www.ft.com/cms/s/0/d321500c-2e27-11e4-b760-00144feabdc0.html

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