グローバル市民社会ニュース 第12号

04.30


社会的企業、英国の新たな輸出物に (2010.4.14)


4月上旬に、タイから社会企業家(social entrepreneurs)や政府関係者が英国を訪れた。社会的企業(social enterprise)がいかに英国の保険制度改革に貢献したかを見るためだ。また中旬には850人以上の人がスコール財団がオックスフォードで開催した社会企業家(social entrepreneur)の年次総会に参加した。このような事例から見ても、英国の「ソーシャル・エコノミー」が新たな輸出物になりつつあることは明らかだ。しかし、国内のさまざまな事例には成功と失敗が入り乱れており、そのことへの目配りはあまり見られない。また、必要なのは、訪問者との相互の学びだが、多くの場合が情報の一方通行になっていることも否めない。

出典:ガーディアン紙
http://www.guardian.co.uk/society/joepublic/2010/apr/14/be-honest-about-social-enterprise

社会変化を「権力」の観点からとらえるパワーキューブ (2010.4.8)


英国サセックス大学の開発学研究所(IDS)が中心となって、組織内外の権力関係の分析ツール、パワーキューブ(powercube.net)を開発した。ツールの開発にあたって、多くの社会運動家、NGO、ドナーなどが参加している。組織内部や社会全般、政治システムなどで作用している権力構造を正しく把握、分析することによって、社会変革を志す人々の手助けになろうとするもの。ワークショップなどの参加型手法で、さまざまな場面の権力構造の分析にツールを役立ててもらうことを推奨している。

出典:e-CIVICUS 482, 8 April 2010
http://www.powercube.net/

ミャンマー、ダム建設で1万5000人が難民化 (2010.4.6)


タイのNGOカチン開発ネットワーキング・グループ(KDNG)は、ミャンマー北部カチン州でのダム建設により、約1万5000人以上が難民化すると警告している。ダム建設により、60以上の村落が適切な再定住計画もないままに強制移住させられており、多くの人びとが農業や漁業等の生活の糧を失っている。このミトソン(Myitsone)ダム建設はミャンマー軍事政権と中国の電力会社の共同事業である。米国のNGOインターナショナル・リバーによれば、これによりニューヨーク市と同規模の熱帯雨林が消えることになるという。

出典:IRIN
http://www.irinnews.org/Report.aspx?ReportId=88692

国連人権委員会レポート・カード年次報告書、新たに4カ国語で公表 (2010.4.1)


人権擁護や民主化のためのアドボカシー、研究、連携強化を目的に活動する民主連携プロジェクト(Democracy Coalition Project, DCP)は、各国政府の政策を監視する目的で、昨年12月の世界人権デーに、「国連人権委員会レポート・カード年次報告書」の英語版を発行したが、このたび、同報告書のスペイン語、フランス語、アラビア語、ロシア語版を公表した。報告書では、2009年6月までの人権委員会第3年次の通常および特別セッションの内容から、スーダン、コンゴ民主共和国(DRC)、パレスチナなどの国・地域の状況や、紛争地域の文民の人権擁護、世界経済・財政危機の人権への影響などのテーマ別の概説を行っている。

出典:Democracy Coalition Project
http://www.demcoalition.org/site09-2008/2005_html/unhrc-related-documents.html

「2009年地雷モニター」発表 (2010.3.19)


対人地雷全面禁止条約の発効から11年が経過したが、条約の成立に向けて尽力した市民社会ネットワークは、その後も対人地雷の使用状況に関する監視活動を続けている。「2009年地雷モニター」によると、条約を批准したのは156カ国にのぼる。2008-09年に対人地雷を使用した国は、ミャンマーとロシアの2カ国にとどまっているのに対し、反政府部隊やゲリラ部隊などのNSA(Non-State Actors、非国家主体)は、これを7カ国で使用している。一例は、コロンビアの革命武装軍(人民軍)は使用しているフットボールのような形状の「風船爆弾」など。

2000年に、政治的に中立な人道機関である「ジュネーブの呼びかけ(Geneva Call)」が設立し、NSAが国際法を遵守するよう働きかけている。NSA用の行動規範を作成し、これまでに39のNSAがこれに署名したほか、5つのNSAは署名していないものの、対人地雷を使わないことを表明している。「2009年地雷モニター」では、NSAのあいだでも対人地雷を使用しない流れができつつあるが、実際に遵守しているか監視していくのは容易ではないと指摘されている。

出典:IRIN
http://lm.icbl.org/index.php/publications/display?url=lm/2009/

市民社会とメディアをつなぐ「市民社会ゲートウェイ」公開 (2010.3.18)


世界各地で展開するCSO(市民社会組織)の活動に対する市民の関心は高くなり、貧困、環境、債務削減などのグローバルな課題におけるCSOの影響力も強くなっている。ところが、主要メディアは相変わらずCSOの活動を些末な事柄、あるいは有名人の関心事程度にしかとらえない場合が多い。

この傾向を是正しようと、CIVICUSとIPS(インタープレスサービス)は、ウエブ上に「市民社会ゲートウェイ」を公開した。メディア関係者が多岐にわたる市民社会の活動を検索できるようにつくられている。一部の国際NGOは、資金力やブランド力を使って自らの活動やテーマを広くメディアに伝えることができるが、より小規模で国・地域レベルで活動する南のCSOの多くはその余裕がない。ゲートウェイは後者の情報発信力を高めることを主眼としている。

出典:e-CIVICUS 479, 18 March 2010
http://www.civilsocietygateway.org/

ページ上部へ戻る