地域密着中小企業事例1

グローカルなモノづくりで人と人を結び、未来を築く

徳永陶磁器株式会社

https://kouraku.jp.net/

「家庭に幸せを、食卓に楽しさを」という考えから生まれた幸楽窯という商号を持つ徳永陶磁器株式会社は、佐賀県有田で1865年に創業した窯元だ。伝統的な焼きものの産地で窯元としてのネットワークを活かし、さまざまな創意工夫を凝らしながら伝統技術の継承と時代にあわせた新しいモノづくりに取り組んでいる代表取締役社長の徳永隆信氏にお話を伺った。

ヒアリングから見えてきた気づき

地域に密着した中小企業の持続可能性向上に繋がる取り組みのポイント・必要とされるサポート

・徳永氏の強い思いが新しい取り組みへの展開に繋がり、観光客や外資を含む大企業などへもポジティブに働き、ビジネスチャンスを生んでいる。経営者による強いコミットは大変重要である。

・これまでのさまざまな素晴らしい取り組みを、SDGsなどとの関わりの整理だけでなく、場合によっては第三者を交えて、きちんと整理することで、外部への情報発信の強化や地域のステークホルダーへ向けての説明だけでなく、社内全体での情報共有、組織力強化にも繋がるのではないか。

SDGsとの連関

トレジャー・ハンティングを通じた廃棄物削減や地域ネットワークを活かした焼きものづくり、アーティストレジデンスや車泊など新たなネットワーク・連携に積極的に取り組む徳永陶磁器株式会社の事業はSDGsのゴール8、12、17などの達成に貢献する取り組みである。

グローカルなモノづくりで人と人を結び、未来を築く
 徳永陶磁器株式会社

◆創業からこれまで
人々を幸せにするモノづくり 誇りあるモノづくり 社会とつながるモノづくり

今年、創業154年を迎えた幸楽窯は、経営理念「人々を幸せにするモノづくり」「誇りあるモノづくり」「社会とつながるモノづくり」のもと、人々の暮らしに寄り添うモノづくりを目指し、最先端の技術を研究し、各時代のニーズに合わせた高品質な陶磁器を地元企業とネットワークを築き、利益を地域社会に還元する、笑顔を届けるモノづくりを行っている。

5代目である徳永隆信氏は2011年1月に代表に就任した。代表就任の2か月後に発生した東日本大震災等の影響を受け、事業経営が一時低迷する中で、焼きものの価格だけでなく、従業員の雇用環境、モノづくりにおいての誇りややりがいについてより意識したという。

◆従業員に対する取り組み
伝統産業を次世代に繋ぐ

現在、従業員は18名(そのうち半分以上は女性)おり、ほとんどが近隣から通っている。外国人も2名雇用し、多言語によるサービス対応を展開、障がい者の直接雇用だけでなくB型施設への一部商品の絵付けを発注するなど、多様性を活かした経営を行っている。陶磁器について学びたい従業員には、施設や設備を開放し、伝統産業を次世代に繋げていくためにさまざまな試みを実施している。2013年からは、さまざまな分野のアーティストを国内外から若い人材を仲間にするために窯元にアーティストを受け入れ、制作に専念できる場を提供するプログラム「アーティスト・イン・レジデンス」を行っているほか、ゲストハウスも完備している。自らも芸大で陶磁器を専攻した徳永氏は、「教育分野と産業分野のパイプはなかなかないのが現状。そのためにもアーティスト・イン・レジデンスは一つのやり方ではないだろうか」と言い、窯元としても世界に有田焼を発信するチャンスとも捉えている。

◆環境に対する取り組み
“うつわ”の宝探しを通じて廃棄物削減

環境配慮への取り組みは、創業当初より行っている。戦後、松林を開拓し、現在の土地に工場を移した。工場の建物は、元小学校を移築し、伐採した松は燃料として活用した。現在、工場の屋根に太陽光パネルを設置している。陶磁器製造の過程においても、1991年には4代目の徳永隆一氏が日本で初めて無鉛の絵具(佐賀県窯業技術センター開発)、有害物質(カドミウム・鉛など)フリーを導入した。

さまざまな環境活動を展開している中で、徳永陶磁器ならではの活動が「トレジャー・ハンティング」という、余剰した在庫に再び光をあてた取り組みだ。現在、レジデンスコーディネーターに従事しているブラジル出身の従業員が「なぜこれを売らないのか。こんな白い陶磁器はお宝じゃないか。」と工場の隅に積まれた陶磁器の在庫を見て発言したことがきっかけとなり始まったという。幸楽窯の広い敷地に広がる焼き物の在庫からトレジャー・ハンティングの参加者はバスケット1箱分のお気に入りを5,000円から購入することができる。日本国内だけでなく、海外からの訪問者も多い。廃棄物の削減に繋がるだけでなく、焼きものの新たな魅力の発見や文化交流にも繋がる取り組みとなっている。

◆地域・社会に対する取り組み
ネットワークを活かし、有田の創造力を総動員

江戸時代から分業体制で焼き物を製造してきた有田には、焼きものができる工程それぞれに専門の職人がいる。幸楽窯では、窯元としてのネットワークを活かし、依頼者ごとのニーズに合わせ、自社の職人のアレンジだけでなく、協力会社との連携を積極的に行い、さまざまな要望に柔軟に変化し対応してきた。

シェアリングエコノミー型九州周遊観光サービスモデル事業「車泊(くるまはく)」(キャンピングカーで地域を回る企画)にも佐賀県の企業として初めて参加しており、幸楽窯の敷地内に専用駐車場と電気設備を設置している。このような地方創生、まちづくり向けた取り組みにも積極的に関わっている。

◆今後の展開
未来へ

「経営は厳しい面もあるが、伝統産業は継承していかなくてはならない。産業を守りたいという人を募っていきたい。あらゆる要望を地域で受けて、地域で応えるようになれば、有田はもっと強くなるのではないか。」と徳永氏は語る。

持続可能な開発目標(SDGs)に関しては、「これまでやってきたことが、すべて当てはまっていくと思い、すっと腹落ちした。これまでやってきたことをやっと皆さんに伝えられるツールが出来たんだと心が震えた」と話し、次世代へ向けた未来を築く取り組みを今後も継続していくと力を込めて語った。

(ヒアリング実施日:2019年7月9日 ヒアリング協力:株式会社Green prop)

企業情報

会社名 徳永陶磁器株式会社
商号 幸楽窯
会社設立日 1963年(昭和38年) (創業 1865年(慶応元年))
代表取締役 徳永 隆信
本社所在地 佐賀県西松浦郡有田町丸尾丙2512
資本金 48,000,000円
事業内容 ・業務用食器
・一般家庭用食器
・病院用強化食器
・デザイン受注型商品
従業員数 18名
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