地域密着中小企業事例9

まちなか農業を次世代につなぎ、楽しい食卓をサポートしたい

株式会社エマリコくにたち

http://www.emalico.com/

東京農業活性化ベンチャーとして2011年に起業した株式会社エマリコくにたちは、東京野菜の流通企業として東京の市街地に隣接する「まちなか農業」の魅力を発信する様々な取り組みを行っている。楽しい食卓づくりを次世代につなぐため、日々邁進している社長室室長 広報・渉外担当の遠藤愛弓氏にお話を伺った。

ヒアリングから見えてきた気づき

地域に密着した中小企業の持続可能性向上に繋がる取り組みのポイント・必要とされるサポート
  • 組織内の定期的な志の共有が従業員の意欲の維持・向上に繋がっている。
  • 採用においても、志の共有が大きなポイントとなっている。
  • 事業運営においては情報の共有を密にし、常に気づきや改善を促すことを重要視している。
  • 都市における生産緑地の維持、都市農業の保護育成そして地産地消など、持続可能な都市のあり方を追い求める運動的な事業となっている。
SDGsとの連関

都市農業の活性化、新しい流通の仕組みづくり、次世代に向けた教育に関する活動を含む株式会社エマリコくにたちの事業は、SDGsのゴール1、2、4、8、11、12、13、15、17などの達成に貢献する取り組みである。

まちなか農業を次世代につなぎ、楽しい食卓をサポートしたい
株式会社エマリコくにたち

まちなか農業を次世代につなぎ、楽しい食卓をサポートしたい

株式会社エマリコくにたちは、東京農業活性化ベンチャーとして2011年に東京都国立市で起業。ミッションに『「まちなか農業を次世代につなぐ」×「都市市民の楽しい食卓をサポート」』を掲げ、新しい流通の仕組みづくりを行っている。直売事業、飲食事業、卸事業、運営受託・コンサル事業と事業の内容は多様だ。新鮮な青果物の流通とともに、東京の市街地に隣接した地域にはたくさんの魅力ある農業・農地・農家があるというストーリーを届けるために様々な取り組みを行っている。

今回、お話をうかがった社長室室長 広報・渉外担当の遠藤愛弓さんは創業3年目の2014年9月に入社した。入社前2ヶ月ほど学生アルバイトを経験し、この会社だからこそ得られる体験や面白さを実感する中で入社を決意した。正社員として入社後は、アルバイト時代に勤務した「にしこくマルシェ しゅんかしゅんか」で店長を務め、青果物の流通から組織マネジメントなど幅広く店舗運営に関わった。現在もその店舗の運営に関わりながら、全社の広報・渉外にも携わっている。

思いを共有する仲間を集めたい

現在、従業員は正社員が17名。加えて、学生や主婦のアルバイトを雇用している。新卒採用は毎年ではないが、一緒に働きたいという仲間を少しずつ増やしていきたいという。昨年も遠藤さんのようにアルバイトから正社員として入社したスタッフがいる。スタッフの平均勤続年数は長く、現在のスタッフの最年長は40代。スタッフの教育には日ごろから付き合いのある多摩信用金庫の開催する初任者研修などを活用している。何より大切にしているのはアルバイトも含めたスタッフ間の情報共有だという。各店舗の売り上げだけでなく各事業の最近の状況についてもこまめな情報共有を行っているほか、アルバイトも含めた全スタッフが集まるパーティを半年に1度開催し、スタッフが思いを共有する機会を作っている。小売・飲食店の運営に関わるスタッフはシフト制を取っているが、休暇を設定しにくいのが課題だという。

都市農業を盛り上げたい

農産物直売所のコンサルティング事業・助言事業では、長年の経験で培った、販売やチームづくり、農家との信頼関係づくりのノウハウを提供している。開業当初は農家との信頼関係をつくるのに苦労したこともあったが、近郊の農家を支え盛り上げることに主眼をおき、売れるものを作ってもらえるよう品種を提案するなどのサポートを続け、現在ではエマリコくにたちのために作るという農家も増えてきた。卸事業では、生産者の顔が見える青果をスーパーマーケット、百貨店、ホテル、飲食店へと届けている。四ツ谷のスーパーマーケットの特設売り場でエマリコくにたちの青果に出会ったという消費者が、国立の直売所「しゅんかしゅんか」を訪ねてくれるというようなこともあるという。

次世代に向けて

以前に単発で行っていた畑でのイベントに対する反応が良かったことから、自治体の助成金事業などを活用し、次世代に向けた食育に関するプログラムづくりにも今後は注力していく予定だ。これからも引き続き、農地の保全のために都市農業を盛り上げる取り組みを広く展開し、日々の購買活動の中にも様々な問題を解決できる力があることを伝えていきたいと語った。

(ヒアリング実施日:2019年10月21日)

企業情報

会社名 株式会社エマリコくにたち
会社設立日 2011年4月27日
代表取締役 菱沼 勇介
本社所在地 東京都国立市中一丁目1番1号
資本金 3,200万円
事業内容 ・東京野菜小売事業
・飲食店事業
・卸事業
従業員数 60名(アルバイト含む)
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