CSOネットワーク 提言&コラム

今回の『ケースから考える「ビジネスと人権」ライブラリー』のテーマは、『パブリック・コメントから考えるステークホルダーエンゲージメント』

投稿日:2022/07/12

皆さん、こんにちは。サステナビリティコミュニケーターの梁井です。今回のケースから考える「ビジネスと人権」ライラリー』では、『パブリック・コメントから考えるステークホルダーエンゲージメント』をテーマにとりあげます。

2020年10月に日本政府による『「ビジネスと人権」に関する国別行動計画2020-2025』(*1)が策定されました。その後、政府内には、国際人権問題を担当する国際人権担当首相補佐官がおかれ、昨年の秋には日本政府として初めてとなる日本企業のサプライチェーンにおける人権に関する取り組み状況についてのアンケート調査(*2)が実施されるなど、「ビジネスと人権」に関連した取り組みが進んでいます。経産省と外務省が昨年行ったアンケート調査結果からは、日本の上場企業の約半数が人権デュー・ディリジェンスを行っていないことが判明しました。人権デュー・ディリジェンスを行っていないと回答した企業の多くが、その方法がわからないと回答しています。今年の3月には、企業に向けた人権デュー・ディリジェンスの意義や方法を解説するためのガイドライン策定のために、経済産業省にサプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン検討会(*3)が設置され、企業がサプライチェーンにおける人権侵害を把握・予防するための人権デュー・ディリジェンスガイドライン策定に向けた議論がなされています。

企業が実施する人権デュー・ディリジェンスのプロセスには、企業がかかわる様々なステークホルダーとの対話が欠かせませんが、企業だけでなく、政府の施策の実施においてもステークホルダーとの対話は不可欠です。国の行政機関は、政策を実施していくうえで、さまざまな政令や省令などを定めますが、これら政令や省令などを決めようとする際に、あらかじめその案を公表し、広く国民から意見、情報を募集するパブリック・コメント制度(意見公募手続)というものがあります。『「ビジネスと人権」に関する国別行動計画2020-2025』の策定の際にもこのパブリック・コメントの実施がなされました。政府のホームページによると、パブリック・コメントは、国の行政機関が政令や省令等を定めようとする際に、事前に、広く一般から意見を募り、その意見を考慮することにより、行政運営の公正さの確保と透明性の向上を図り、国民の権利利益の保護に役立てることを目的とするとされています(*4)。

OECDによる企業向けの人権デュー・ディリジェンスに関するガイドライン(*5)では、ステークホルダーエンゲージメントについて次のような説明がされています。

ステークホルダーとの意味のあるエンゲージメントとは、双方向のコミュニケーションであり、双方向からの参加者の意思にかかっている。

双方向の関与とは、企業とステークホルダーとが、相互理解に達するため自由に意見を表明し、視点を共有するとともに、他の見解にも耳を傾けることを意味する。

政府の人権デュー・ディリジェンスガイドライン検討会の資料によると、策定検討中の人権デュー・ディリジェンスガイドラインについても、パブリック・コメントを実施するという予定となっています。政府にとって、1番のステークホルダーである国民との対話、パブリック・コメントを通じ、意味のあるステークホルダーエンゲージメントが実施され、公正で持続可能な社会の実現に寄与するガイドラインが策定されることを期待したいと思います。

『ケースから考える「ビジネスと人権」ライブラリー』、次回もお楽しみに。

 

(参考)

*1:「ビジネスと人権」に関する行動計画(2020ー2025)(外務省)

https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_008862.html

*2:日本企業のサプライチェーンにおける人権に関する取組状況のアンケート調査結果(経済産業省・外務省)

https://www.meti.go.jp/press/2021/11/20211130001/20211130001.html

*3:サプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン検討会(経済産業省)

https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/supply_chain/index.html

*4:パブリック・コメント制度について(e-Gov)

https://public-comment.e-gov.go.jp/contents/about-public-comment/

*5:責任ある企業行動のためのOECDデュー・ディリジェンスガイドライン(OECD)

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/csr/housin.html

 

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