CSOネットワーク 提言&コラム

インタビューシリーズ「CSONJな人たち」Vol.2 長谷川 雅子

投稿日:2021/05/21
カテゴリー: 事務局日記

CSOネットワーク(CSONJ)を取り巻く人たちをご紹介するインタビューシリーズ「CSONJな人たち」第2弾は、事務局長・理事 長谷川雅子です。担当事業である地域づくりへの想い、事務局長としての想いなどを語ってもらいました!

――担当事業を教えてください。
CSOネットワークの事業の柱は、企業のサステナビリティの推進、持続可能な地域づくり、社会的インパクト評価の3本で、このうち持続可能な地域づくりを担当しています。具体的には「指標・目標を活用した参加型の地域づくり」という旗印を掲げ、市民を巻き込みながら地域の目標や計画、指標の策定を行う中で地域全体のビジョンを市民で共有し、最終的には市民参加型の地域を作り上げていくことを目指しています。現在は、地域組織のサポートをする形で、富山県黒部市、神奈川県座間市、静岡県などで伴走支援を行っています。
また、依頼に沿った調査や研修も行っています。企業からの依頼により原料調達地域の調査を行い、持続可能な地域を実現するためのアクションプランを提案したり、自治体の依頼で、計画作りの方法論として社会的インパクト評価の研修も始めています。

――地域事業では、企業、自治体、地域住民と幅広い人々と関わっている印象があります。
地域は、様々なステークホルダーが協力しながらつくっていくのが理想だと思うので、そうした多様なステークホルダーをつなぐようなお手伝いができればと思っています。地域円卓会議に代表されるように、以前からマルチステークホルダーをつなぐ取り組みは各地で行われてきましたが、現在はSDGsの影響もあり、プラットフォームという名称で、多くの地域で取り組みが進められていると思います。このような動きを、より実効性のあるものにしていくことが大切だと思います。
当事者でなければわからない地域の課題や、埋もれている地域資源を、地域の様々な人との話し合いの中で共有し、気づきや学びを得る中から、具体的なアクションに結びつけていく流れが大事だと思っています。それには、主体となる地域の人々が中心となりつつ、私のような外部の人間が少し離れた立場から、データを使って課題を可視化したり、フレームワークによって状況を整理したり、必要に応じたサポートをすることで、地域の皆さんが息切れせずに走り続けていかれるのではないかと思っています。ですので、私の地域との関わり方は、私が地域に入ってゼロから何かをするということではなく、想いを持つ地域の団体があり、その方達が地域の資源と課題をつなげようとするところに寄り添い、サポートするというものになります。

福島県二本松市東和地区の有機農家さんの畑にて

――地域に携わるきっかけはどのようなものだったのでしょうか。
CSOネットワークの地域との出会いは、2011年の東日本大震災後に福島の有機農業の方々のサポートに入ったことに遡ります。放射能汚染の風評被害が拡大する中で、全国の研究者たちが現地調査に訪れ、有機農業では土中の放射能が作物に移行しにくいという事実を発見しました。CSOネットワークでは、こうしたエビデンスに基づいた事実を、福島からの声として全国に伝える役目を担うことでご支援をさせていただきました。
福島に通い、有機農家の皆さんや福島を応援する方々と交流する中で、震災や放射能による被害の問題だけでなく、その背景にある全国の地域が共通して抱える問題、例えば人口減少や少子高齢化、産業構造の変化などがあることを学びました。一方で、震災以前から、グローバル化する社会の中でも独自のローカライゼーションの取り組みを着実に進めている地域が全国にあり、そうした地域を取材してまとめる事業を、地域の専門家の方々とともに始めました。2012年頃からプロジェクト化して地域の訪問調査を開始し、2016年にはその調査からの学びが「『地域の力』診断ツール」として結実しました。その後、このツールを使いながら各地でワークショップを始めて、それが発展する形で今に至ります。こうした経緯から、今も、地域の事業は福島の方々に育てていただいたと思っています。

――仕事を行う上で大切にしていることはなんでしょうか。
人に寄り添うことでしょうか。地域の事業はとても楽しくやらせていただいていますが、人間関係の構築が前提にあると思っています。求められていることに応え、地域の方々の力になりたいと思って活動しています。一つ一つに寄り添って走りながらここまでたどり着いたというのが実感です。今後の目標としては、これまでやってきたことや今進めていることをモデル化しわかりやすく可視化できればと考えています。とはいえ、まだ事例作りの途中ですので、まずは一つ一つをまとめていくことからでしょうか。様々な人の声にきちんと耳を傾けて、データに基づいて状況を把握し、既存のフレームワークを組み合わせたりしながら、地域の中にアクションを起こし、地域コミュニティの醸成につなげていければと思います。

――事務局長としてはいかがでしょうか。
事務局長になって約1年、元々リーダーシップには苦手意識があったのですが、サーバントリーダーシップ(※)という言葉に出会い、これならできるかもと思い、組織運営の上で意識するようにしています。それぞれが生き生きとモチベーションを持って働ける環境を整えることで、個の力を生かし生産性も上がることを期待しています。「一人一人の尊厳が保障される公正で持続可能な社会の実現」というCSOネットワークのビジョンは壮大ですが、その実現に向かう道は色々あると思うので、スタッフや関係者それぞれの関心や能力を活かしながらチームとして山を登っていければと思っています。
(※)「リーダーである人は、まず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」という支援型リーダーシップのこと。

―――長谷川さんは、ビジョンの実現に向けてどのように事業展開したいと思われますか。
地域づくりの分野では、コミュニティに参画して活動している人ほど満足度が高いという調査結果があるのですが、一人一人が個を生かしながら地域に関わることのできる参加型の地域社会を作るお手伝いをしていきたいですね。そのような地域は魅力が向上し、結果的に人が集まり、人が育ち、地域の持続可能性へと結びついていくように思います。

黒部でのワークショップの様子

――組織づくりと地域づくり、どちらも参加型を目指していらっしゃる印象を受けました。
組織も地域にももちろんある程度の秩序や規範は必要だと思いますが、同時にフラットでオープンな雰囲気は大事だと思います。地域で行うワークショップはある種、人工的に設定されたフラットでオープンな場ですが、それがきっかけで多様性や包摂性という風が現実の地域にも入っていってくれればと思います。

――今後の目標を教えてください。
地域事業では、現在伴走している地域での活動をしっかりと形にし、それをまとめたいと思っています。そして同じような課題を抱える地域や組織にも役立ててもらえるよう広げていきたいです。
CSOネットワークとしては、スタッフそれぞれの興味関心と専門分野、時代や社会のニーズ、そして社会の持続可能性に役立つこと、これらをつなげて新たな事業を生み出していきたいですね。CSOネットワークの強みは、海外などの先進的な事例を見出し、日本のニーズも踏まえて紹介したり、活用したりという部分なので、今後もこの先見性のDNAを意識して、社会に役立つ事業を展開していきたいです。

聞き手所感:
人に寄り添い伴走するという長谷川さんの姿勢は、柔和な人柄そのものだと感じました。地域づくりと組織づくり、長谷川さんならではのリーダーシップに今後も注目です。

 

今後も引き続き、CSOネットワークを取り巻く人たちのインタビューをお届けします。次回もどうぞお楽しみに!

聞き手:CSOネットワーク プログラムアソシエイト 山本真穂

 

プロフィール:

長谷川 雅子(はせがわ まさこ)
事務局長・理事

住民主体の持続可能な地域づくりに関わる支援を担当。横浜市役所(社会福祉職)、公益社団法人アジア協会アジア友の会(海外プロジェクト担当)等を経て、2010年CSOネットワーク入職、2018年より事務局次長、2019年10月より現職。地域主体の持続可能な社会づくり事業、持続可能な公共調達に関する調査、民間企業の開発支援資金に関する調査等に携わる。横浜市立大学非常勤講師。大阪大学国際公共政策研究科博士課程修了(国際公共政策博士)。

講師派遣についてはこちらをご参照ください。

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